Nonesuch | 075597918069 | US & EU | 2021 | M: VG+ / VG+ | JK: VG+ | カラーヴァイナル仕様
A1: From The Air 4:33
A2: Big Science 6:12
A3: Sweaters 2:24
A4: Walking & Falling 2:13
A5: Born, Never Asked 4:57
B1: O Superman (For Massenet) 8:25
B2: Example #22 3:00
B3: Let X=X / It Tango 6:57
B3a: Let X=X
B3b: It Tango
才女 Laurie Anderson が82年に Warner Bros. から発表したデビューアルバムの、2021年リマスターリイシュー盤。意外ですが Nonesuc からのリリースです。しかも赤盤。ニューヨークのパフォーマンスアーティストとして活動していた Laurie Anderson が、巨大なマルチメディア作品『United States』の一部をアルバムとしてまとめた作品で、81年に先行して発表された「O Superman」が英国で予想外のヒットとなったことでも知られています。
この盤が特別なのは、いわゆるニューウェイヴでもシンセポップでも、ましてや現代音楽でもなく、そのすべての境目に立ちながらポップアルバムとしても成立しているところです。言葉、声、電子音、リズム、沈黙。そのどれもが曲の装飾ではなく、楽曲に同じ比重で配置されています。Laurie Anderson の語りは冷静でユーモアもあるのに、背後には80年代初頭のアメリカが持っていた技術信仰、管理社会、通信への不安がじわりと滲んでいるんです。未来的というより、未来が少しずつ生活に入り込んでくる怖い瞬間を、真顔で観察しているような冷静な音です。
機内アナウンスのような語りやヴォコーダー、反復や広い空白、そのどれもが実験的でありながら、聴き手を突き放しすぎないんです。ビートが強いわけではないのに、反復の感覚にはダンスミュージックにも通じるフィジカルさがあり、アンビエントやミニマル、ポストパンク以降の耳にも自然に引っかかります。硬質なのに妙に親しみやすい、この絶妙すぎる距離感が本作の大きな魅力です。
時代の記録でありながら、今聴いても古びるどころか、過剰な情報と声に囲まれた「現在」へ静かに寄せてくる、80年代初頭のアート、電子音楽、ポップの交差点的1枚。実験音楽の入り口としても、ニューウェイヴ以後の異形のポップとしても、その時の気分で独自の光り方をする名作です。US&EU盤。カラーヴァイナルですが、近年のカラーヴァイナルはPVC配合とプレス精度が向上していて、単色カラー盤であれば黒盤との差が出にくくなっている気がします。
Sleeve: シュリンク/スレ
Media: 薄くスレ/静音部に軽微なチリノイズ
Include: ライナー/ハイプステッカー