Silent Sun | SS 1101 | GER | 1981 | M: VG+ / VG+ | JK: VG
A: Inner Voices, Teil I 23:37
B1: Inner Voices, Teil II 9:19
B2: Inner Voices, Teil III 9:49
独音楽家 Jochen Vetter と Helmuth Scherner による81年にドイツの Silent Sun から出たアルバムです。タイトルは直訳すると「音の内側」。Jochen Vetter は音楽家であると同時に映像作家や画家としても活動した人で、Helmuth Scherner と組んで声、フルート、シタール、タンブーラ、ゴング、シンギングボウルなどを使った演奏を行っていて、この作品は倍音唱法をかなり前面に押し出した初期の録音のひとつとして知られています。
いわゆるアンビエントやニューエイジのように、ただ空気をやわらかく整える方向には進まないところが面白いところ。音の中心にあるのは旋律というより、ひとつの声が倍音を帯びたまま広がっていく感覚で、聴いていると響きの中へ入っていくように感じます。フルートや弦の持続音や打楽器の余韻も加わるのですが、どれも前へ出て主張するというより声のまわりにうっすらと輪を描くように配置されています。そのため静かな作品ではあるのに、ただ穏やかに流れるのではなく、耳の焦点が少しずつ内側へ向いていく独特の集中力があります。これはタイトルの付け方ともかなりよく重なっていますね。
シタールやタンブーラのような持続する響き、声の倍音、金属的な余韻が重なることで、音楽というより音響の儀式に近い場面もあります。けれど、難解な実験だけで閉じてしまわないのは、全体に素朴な人の気配が残っているから。整いすぎていないぶん、スタジオで作った無菌的な作品ではなく、実際にその場で音を探っていた時間ごと音を閉じ込めたように聴こえます。
80年代初頭に“音を聴くことそのもの”へ深く向かっていた人たちの記録として見るとしっくりきます。静かなのに芯がある。普通のメロディや展開では届かないところまで耳を連れていく1枚です。ドイツ盤。
Sleeve: スレ/クスミ
Media: 薄くスレ/静音部に軽微なチリノイズ
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